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社長ブログ
2020.01.26
紡いでいく企業
月曜日は私の唯一の仕事?でもある、朝礼でウエダ本社の価値観擦り合わせを行なっているので、基本的に全員参加で私も出張は入れないのですが、今週は元内田洋行会長の久田仁氏のお別れ会がパレスホテルであった為、東京に行っておりました。
又この日は夕方に京都経済センターKOINで、コーディネーターを務めている”京都に選ばれ続ける企業経営を学ぶ全四回”の最終回がであったので、弾丸出張となりました。
長年のメイン仕入れ先のTOPですから、当然ではあるのですが、ウエダ本社にとってはそれ以上に特別な方でもありましたので、スタッフへの共有含めて、ここでも書き残しておきたいと思います。
内田洋行さんとは、文具の時代から、そしてユーザックというオフコンの黎明期から、その販売も行なって来たという古くからの付き合いで、その流れを汲んで設立した子会社(ウエダコンピュータシステム)は、その後内田洋行さんに売却し、現在、内田ITソリューションとなっているという、切っても切れない様な関係です。
この唯一儲かっていた子会社を売却しないといけなくなったのには、ドロドロっとした話もあってそちらの話の方が聞く側は面白いと思うのですが(笑)、その話は割愛して、その経緯から含めて、売却交渉の相手となったのが、当時社長であった久田氏でした。
私も会社を守る為に必死でしたので、交渉についてはバトルも含めて色々ありました(やりました)が、ハッキリ言える事は、久田氏がおられなければ、今のウエダ本社は無かったであろうという事です。
そもそもは、ウエダ本社が長年赤字で倒産の危機にあったから、この子会社の売却にも繋がり、その交渉も含めて出入りさせて頂いていた中、当時は文具業界も再編の真っただ中だったのですが、久田氏から「大きな負債を抱えるウエダ本社ではどこも引き取ってくれないぞ」と言われた後に、「ただ、プラスがこんな事を考えているらしいぞ」と、全国の卸を統合していこうとされていた、現在のジョインテックスとなる構想を聞かせて頂いたのでした。
これには正直驚きました。
その内容もさる事ながら、内田洋行さんとプラスさんというのは当時、ライバルというだけではなくあまり関係は良くなかったので、そこに業界では内田洋行さん一辺倒と思われているウエダが、プラスさんと再編の話をしていいのか?という事であり、即座にお聞きしたのでした。
すると久田氏は、「そら、会社として生き残る事が先決やろ」と言って頂き、その場で、「それなら直ぐにプラスさんに話を聞きに行きます!」と言って、プラスの今泉社長の門を叩いたのでした。
今泉社長の所へ行ってみると、確かにその構想はあるとの事で、こちらもその後ウエダ本社の文具卸部門を、新しく作られるジョインテックスさんに営業譲渡という交渉に移っていく事になったのでした。
お別れ会では、その今泉社長もおられたので、この時の話もさせて頂いたのですが、「そんな経緯だったな! しかし、久田さんも流石だね。」と仰っていました。
後から振り返ると、倒産を切り抜けた大きなポイントは四点ほどありますが、これはその内の一つで、あの時久田氏がプラスさんの構想を教えて頂いてなければ、そして、シガラミや体裁などから、ウエダ本社がプラスと交渉するなど、まかりならん!という事を言われていたら、今のウエダ本社は間違いなく無かったと思います。
今週は新年会も兼ねた歓送迎会がありました。
送迎の方は管理部の定年を迎えられた方ですが、50代から中途で入社頂いたこの方は、その前任でウエダ一筋40数年で、やはり定年で退職された方の後任という、大変難しい役割だったと思いますが、見事に切り盛りしてバトンを繋いで頂きました。
これらの事を見ても、これまでに色々な方の力やアドバイス、そして想いなどが絡み合って、繋がって、今が有るのだと思いますし、今回、歓迎の方で中途で入って来て頂いた強力なメンバーにも、こんな先人達の想いを引き継ぎ、それにそれぞれの個性を発揮して、これまでの人、今後の人達と混じり合って、新たな価値を生み出していって欲しいと思います。
今週には、審査員を務めている、京都市の1000年紡ぐ企業認定の審査会もありましたが、”1000年”というのは、どんな感じなのか想像もつきませんが、その長期間価値を”紡いでいく企業”という視点は、京都らしい、そして日本らしい、素晴らしいものだと思います。
あの時の苦境も、その時の言葉も、それらを苦労しながら乗り越えて来た事や、これまでに辞めて行った人も含めて、それぞれの役割を果たしてきてくれた人達が紡いでくれたもの、それこそが何にも代えられない資産となっていると思います。
ウエダ本社に常勤で関わる様になって20年、久田元会長にそんな報告ができたのは、せめてもの恩返しでしたが、100年に向けて更にそんな価値を紡いでいきたいと思います。
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